起業の鍵は「兆候」を発見すること
「失敗を早く、沢山経験せよ」の落とし穴
よく起業を成功するには「失敗を早く、沢山経験せよ」と言われます。これは起業は「実現するかわからない、手探りなもの」だからと言われます。
しかし、このような言葉に違和感を覚えた方も少なくないのではないでしょうか?
私たちは、失敗したとき「次は成功させる」という挽回意識が生まれます。ところが、失敗からうまく行きそうなことを学び、それを次に生かしても、どうしても上手くいかないことがよくあります。
なぜなら、失敗の挽回は大抵において「失敗の影響を小さくする」ことにしか効果をもたらさないからです。私たちは失敗したとき、無意識にリスクの少ない方法を取り、逃げの手を打ってしまうことが多くあります。この結果、狭い範囲で問題解決を行い、かえってうまくいかなくなってしまうのです。
ここに「失敗を早く、沢山経験せよ」の落とし穴があります。
失敗は「成長」を促し、成功は「自信」を深める
起業のように今まで経験したことがない、正解がないといった問題に当たるときは、「自信」の積み重ねが大きく影響します。まだ経験していなくとも、「この方法ならいけるはず」という当たり付けによる自信が、行動に大きく影響します。しかも、この自信は成功によって高められます。
一方で、失敗は成長を促します。物事がうまくいかないときに「自分はまだまだ」と思い知らされ、素直に反省しつつ頑張ったとき、はじめて成長につながることができます。
つまり、「失敗」と「成功」は心理的に異なる効果を持つのです。行動を促すならば「成功」。成長を促すならば「失敗」した方が良いともいえます。言い換えると、起業には「失敗」も「成功」も必要であるとも言えます。
それでは、まだ起業でうまくいっていない方は、どのように「成功」したらよいのでしょうか?
成功の「兆候」を見つけよ
19世紀の発明家トーマス・エジソンは「成功」と「失敗」を使い分けた名手でした。彼の名言に「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」というものがあります。
彼は電球の発明にあたり、日本の竹が電球に優れていることを発見しました。しかし、ここに行きつくまで、無数の失敗を繰り返しました。フィラメントや友人の髭など、あらゆる材料で失敗しました。
しかしその後、成功の「兆候」を見つけたのです。
彼はたまたま机の上にあった「竹の扇子」を使ってみると、これまでより長く発光しました。ここで上手くいったために彼は日本の竹を使うことになりました。
つまり、この「竹の扇子」が成功の「兆候」です。
実は起業にも同じようなことが言えます。
「全てがわからないことだらけ」である起業では、エジソンのように実験を繰り返すことが大切です。それもAがだめだったらBというように、多様な視点に切り替えていくことです。
すると、偶然に成功の「兆候」にばったり出くわします。こうならばしめたものです。それを強化すべく全資源を投入しましょう。
私たちはややもすると、視野を狭くして成功への道を閉ざしがちになります。このようなときこそ、広い視野を持って活動することが大切になるでしょう。