自分を変えたい!良い未来を作りたい!という人のための経営マインドの強化書

 

「マネーの虎」「ガチンコラーメン道」事業失敗の原因分析

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成功とは生き残ること

1999~2002年に「ガチンコラーメン道」「マネーの虎」というTV番組がありました。そこでは、志願者が厳しい指導者に真剣さながらに学んだり、投資家の社長にプレゼンして投資資金を得るという、起業を後押しする番組でした。

 

ところが、番組終了後の彼らの足跡を辿ると、失敗した者が続出しました。しかし、なぜか彼らの失敗をきちんと分析したものは見当たりません。

そこで今回は、彼らはどのようにして失敗していったのか、その経緯を学び、私たちが教訓とすべきことを見てみようと思います。 

 

 

マネーの虎の失敗 傲慢さが身を滅ぼした

10年ほど前に日本テレビで「マネーの虎」というテレビ番組が放映されました。当時はプレゼンターに「マネーの虎」のベンチャー企業社長らがエンジェル投資をする番組でした。しかし、この番組終了後、マネーの虎らの会社が相次いで倒産しています。

結局、倒産せずに残ったのは、男性経営者半数、女性経営者9割方です。

巷では、マネーの虎の失敗は「金への執着」が原因であると言われています。しかし、それは失敗の本質とは異なります。彼らの失敗は、以下のように経営学的な分析が必要です。

 

1.顧客離れで失敗

①郷土料理店のベンチャー企業

郷土料理店のベンチャー企業は当時としては斬新で、マスコミに大きく取り上げられました。しかし、既に外食ブームはピークから落ちてきており、客数が伸びなかったようです。結果的に店舗拡大が仇となり利益が出せず、破綻することとなりました。

また、社員を見くびり、手足のごとく使い、組織化への取組をしなかったことも一因のようです。

 

フードテーマパーク企業

テーマパークへ乗り出した人もいます。彼は長崎オランダ村を改修し、新たにフードテーマパークを設立しました。当初、原材料生産のネットワーク化により、品質の安定化を行う計画でした。しかし一方で、テーマパークのマーケティングは不十分であり、顧客調査が不十分な上、旧長崎オランダ村の特色を無視した告知を行った結果、開店から半年後、人気が落ちて客数が減少し、破綻となりました。

 

③ラーメン店

社長自身が芸人ということもあり、エンターテイメント性を持ったラーメン屋として成長しましたが、結局事業の定義が曖昧なままでした。芸能活動とラーメン屋の事業の曖昧さがフランチャイズ化の失敗を招き、商品のクォリティも低下させて顧客離れを招きました。

 

2.日和見的な事業リスクで失敗

①自動車輸入企業

社長の身一つで他国と交渉し、自動車輸入業を立ち上げましたが、傘下に入った親会社MGローバーが破綻し、連鎖破たんで倒産しました。しかし、MGローバーはその前から破綻の懸念について既にマスコミで騒がれており、注意しておけば防げるはずのものでした。

結局、身一つで立ち上げ、マネーの虎としてもてはやされた油断が、取引先の経営リスクを軽視した意思決定に繋がったと言えそうです。

 

②リサイクル企業

中古品を再生して販売する事業を行っていた人もいます。1990年代の創業当時は、社会でのリサイクル意識は小さかったためか、順調な売り上げでした。ところが、20年も経過すると社会も変化します。環境意識が浸透し、競合のリサイクルショップの激戦となり、顧客の奪い合いになりました。早い段階で事業転換を行えば、傷は浅くて済んだはずですが、当初の「リサイクル加工」というコンセプトを変えられず、破綻を招いてしまいました。

 

破綻したマネーの虎らは、ほとんどが番組終了後わずか数年に相次いでおかしくなっています。彼ら起業家は、「マネーの虎」としてマスコミから取り上げられるにつれ、次第に傲慢へとなり、有頂天になったことが直接の原因と言えそうです。

その結果、彼らは顧客の立場を無視し、提供者の論理を優先し、日和見的な事業判断を行いました。これが破綻につながったと言えそうです。

 

 

ガチンコラーメン道 信念のブレによる失敗

次にTBS番組のガチンコラーメン道を見てみましょう。この番組は、ラーメン店の独立を目指す者が「ラーメンの鬼 佐野」から選抜制で指南を受けるというものでした。生徒は1~3期性がおり、そのうち実際に起業したのはわずか6人でした。その後、番組終了後の彼らの経緯をたどると、何と企業生存率が2年で80%、6年で60%、10年で50%と減少の一途を辿っていました。

彼らの失敗原因は次のように考えられます。

 

①やるべきことよりやりたいことを優先

イタリアンのショッピングモールに出したにも関わらず、わずか2年で閉店となった人がいます。イタリアンを好む客層が多いにも関わらず中華を出し、うまくいかなくなると「ガチンコラーメン道」に変えてネームバリューに頼り、髪を染めて若者色を出すなど、信念のブレがあったために顧客離れが進んだようです。

 

②信念のブレでクオリティが低下

店の場所を転々とし、客層を変えて提供していたがやめてしまった人がいます。最も良い時期で4店舗にまで増やしましたが、接客や店内のマネジメントが不十分で競合に抜きんでることが出来ず、味のクオリティが年々下がっていたようです。

 

これらから言えることは、やりたいことを優先する者は、顧客ではなく自らの立場に焦点を置き、信念を他者に譲る。それゆえに事業を自己目的化させる過ちを犯してしまうということです。

 

 

経営者は芸能人ではない 「成すべきこと」をやれ!

マネーの虎とガチンコラーメン道の失敗者から私たちが学べることは、以下です。

1.成すべきことに集中する

顧客や市場が求めていることを愚直にやること

2.日和見的な戦略で判断しない

いかなる判断もリスクがつきまとう。その上で最悪のことが起きても傷が浅くすむように予め考えておくことが大切。

3.常に変化する

市場は常に変化する。例え今日の判断が正しくても、明日も同じで済むとは限らない。常に市場をチェックしておくことが大事。

4.社員を大事にする

マネーの虎に限らず、成功した経営者は傲慢になりがち。しかし、企業を成り立たせるのは社長1人だけでは無理。社員を大切にすることが不可欠。

5.ブランドマネジメントに意識する

経営者は芸能人ではない。社会に踊らされずに自身をマネジメントしていくことが必要。

 

マネーの虎」や「ガチンコラーメン道」は、社会を良くするために行われた番組でした。しかし、結果的に経営者を破綻に追い込んでしまったのは、番組側にも責任の一端があったとも言えるでしょう。 

 

そして最後に私たちは、マネーの虎やガチンコラーメン道の失敗者をバカにするのは、もうやめにすべきです。失敗者をバカにする社会であれば、チャレンジする人がいなくなってしまうからです。

ゼロ成長の日本から成長し、生活を良くしたいならば、チャレンジを奨励する社会にしていかなくてはなりません。