個人化するグローバル経済
ビジネスのゲームルールが変わった
19世紀に生まれたグローバル経済は、時代と共に権力者の支配を手放し、私たちに相互関係をもたらすようになりました。
これにより、世界の重心が国家から、企業、そして個人へと移り変わっていきました。
19世紀は、暮らしをより良くするビジネスが生まれ、その恩恵で強国となった国家が他国を制圧しました。個人は、国家からの支配を強く受けざるを得ませんでした。
ところが20世紀になると、大量生産の技術を発明したグローバル企業が、国家権力を超えて自由に世界に影響をもたらすこととなりました。個人は、国家からの支配から逃れるようになったものの、企業組織からの支配を受けるようになりました。
しかし21世紀では、インターネットという強力なコミュニケーション技術によって、個人が世界に影響をもたらすようになっています。
この結果、ビジネスのゲームルールが今、大きく様変わりしています。
19世紀のビジネスの主要なテーマは「いかに便利にするか」でした。電球や服の生産など、生活の不便を解消する事業が次々と生まれました。これが20世紀になると「いかに楽にするか」となりました。大企業の大量生産によって、より多くの人がその恩恵をうけました。
そして、21世紀は「いかにより良く生きるか」がテーマとなりつつあります。
これまでの「生産性向上」というやり方では、上手くいかなくなってきています。この傾向は特に新興国に顕著に現れてきています。
しかも個人で見ると、企業でのサラリーマン生活に加えて、老後の人生も考慮する必要が出てきました。今や人生をより良く生きることが、私たちにとって重要なあり方となっています。
「いかにより良く生きるか」は起業への機会だ
21世紀の私たちは、より良く生きるための環境を自ら構築することが当たり前となりつつあります。私たちは周囲から自分が「存在を軽んじられている」と感じた時、強い苛立ちを感じるようになりました。
傷つけられる恐怖感を感じた、相手から無視された、素っ気ない態度を取られた、などです。
実際、このようなことは「ソーシャルネットワーク」で日々起きています。
一方で、働く人は「自分が生かせる環境」を望むようにもなっています。「ブラック企業」で毎日忙しく、自分のことで精いっぱいで、トラブルの火消しを行っている人はこの傾向が強くなっています。
もし起業を目指し、アイデアを検討しているならば、同様に困っている人を探してみるとよいでしょう。そして解決の手段が「自分独自のもの」であれば、ビジネスとして立ち上げられる可能性が高くなるはずです。
新しくビジネスを立ち上げるには、問題意識を持った人へ関心を向けることが必要だからです。