起業ブームを疑え! 自らの価値が成功の鍵だ
起業ブームの危険
インターネットは、商品やサービスを作る手間を激減させました。今や起業は、Webサイトとアプリさえあれば誰もができるようになりました。いたる所で「好きなことをして生きていく」という起業ブームにもなりつつあります。
ところが、この簡便さにも関わらず、起業の立ち上げは難しいままです。特に起業家が「イケそうなビジネス」と考えるものは、先行者がいたり、顧客を捉えられなかったりと上手くいきません。
ではどうすべきか、今回は、その方法について考えたいと思います。
先行者とは「差別化」が必要
多くの人は成功した先行者のマネをしようとします。しかし、上手くいきません。なぜでしょうか?
シェアリングエコノミーのAirbnbが世の中で知られるようになった頃、当時マスコミは「新しい」と騒いでいました。このとき、多くのベンチャーがこぞって追従しはじめました。しかし、Airbnbは創業から4年ほど経過し、世界192ヶ国に参入しており、牙城は揺るがない状態となっていました。
また、タクシーの破壊的なサービスを実現したUberでは、ベンチャーキャピタルから資金調達をしたとき、多くのマネをするスタートアップが登場しました。しかし、Uberは既に8割のシェアを独占していました。
これらのマネしたベンチャーは皆、死滅していきました。
1人の成功者が出現すると、それに釣られた人が灯りに群がる虫のように参入する。すると、その成功者以外が死滅する「ヒートデス」と言われる現象があります。既に他者がやっているビジネスをマネすることは、デットゲームを展開するようなものです。
新規参入者は、AirbnbやUberと異なる客層や技術を狙い、差別化することが必要です。
一人の身近な客の悩みを解決せよ
起業家の行いがちなもう一つの失敗として、「顧客」を明確にしないことです。顧客を個人としているのか、法人か、それとも専門家なのか、曖昧にすると顧客がつきません。それどころか、「架空の顧客」を想定し、検証せずに進めてしまう起業家も多くいます。
多くの起業家は、最初の顧客を見つける前に挫折してしまいます。商品やサービスのクオリティを先に求め、「顧客がどんな人か」を考えることを疎かにしてしまうからです。
では、顧客を具体化するにはどうすべきでしょうか?
最も簡単な方法として、身近な他の起業家をターゲットにするという方法があります。相手は実在する人物であり、しかも悩みを知るには難しくありません。
たった一人だけでも、相手の問題の解決をすることが出来ればしめたものです。後は似たような人にビジネスを展開すれば良いだけですから。
私たちは、新しくビジネスを行うにあたり、どうしても「自己中心的」に考えがちです。起業ブームに乗って他者に流されるのではなく、自らの価値を構築していくことが必要と言えるでしょう。