週末起業で立ち上げろ! サイドプロジェクトの道
サラリーマンとしての起業
私たちは「起業」というと、常人離れした天才がやるようなイメージを持ちがちです。しかし、実際は天才が起業しているケースは非常に少ないと言えます。
実際、Read your storyというアメリカのスタートアップの創業者、エリック・バーンは会社に勤めるサラリーマンであり、Facebookのプロダクトマネージャーでした。
今日は、Read your storyがどのようにして起業を実現するに至ったのか、探ってみましょう。
エリック・バーンのサイドプロジェクト
Read your storyは、子供のための絵本を特注で制作するスタートアップです。エリック・バーンは、子供と関わる中で起業のアイデアを発想しています。
ある日、彼は子供たちと一緒に姉の家へ遊びに行きました。そのとき彼らの中で、絵本の読み聞かせがiPadより魅力的で、子供との絆を深めるであろうことに話題になりました。
しかも、子供たちは自分の名前が印刷されていたり、自分の写真を見たりすると興奮することがわかったのです。
そこで、競合他社について調べたところ、エリック・バーンは子供の名前や写真が入った絵本を作れる会社が少ないことに気づきました。しかし、当時Facebookで働いていた彼は、退職をする準備まではまだできておらず、サイドプロジェクトとして進めることにしました。
サイドプロジェクトは、顧客を獲得するための実験として最適な方法だったからです。
テスト販売による検証
製品を売るならば、新規ビジネスを始める前に市場検証することが必要です。そこで彼は、まず50冊の絵本をテスト制作・販売し、絵本を本当に購入したいか調べることにしました。この際、彼の友人達にはプロジェクトについて知らせず、偽名によって絵本を潜在顧客や子供を持つ親へシェアしました。
こうして彼らはユーザが絵本にどう反応するかを確かめていきました。
すると、彼らのクオリティの酷さにも関わらず、ユーザーから良い評価をもらっていることがわかりました。ユーザーの中には、ウェブサイトをシェアしたり、友達に勧めたりする人がおり、彼らの事業へのニーズがあることがわかりました。
SNSによる顧客獲得
ブランドを1から立ち上げるとき、自分たちのビジネスがどこまで拡大すべきか検証することが必要です。そこで、彼らはテスト販売終了後、今度は規模を拡張してビジネスのテストを行うことにしました。これは、絵本の販売ではなく顧客リスト作りを行うためです。
そして、Facebookの「いいね」と類似ユーザを構築する仕掛けを行いました。
「いいね」によるファン作り
まずシンプルなFacebookページを作成しました。次に見たもの全てに「いいね」をするユーザ集まるようにしました。100件の「いいね」を集めて、ファンを集めました。
類似ユーザーを集める
100人のファンが最低でも集まれば類似のオーディエンスの顧客リスト作成が可能になります。顧客リストをFacebookにアップロードし、それによってFacebookのアルゴリズムが、リスト内のユーザの共通点を解析します。
この結果、類似ユーザが最大で数百万人までピックアップされます。
このように、最適なターゲットが得られるまで続けながら、ランディングページにて広告開発を行いました。
こうして、彼らは製品の販売前に顧客を6000件も得ることができました。
週末起業が効果的だ
事業立ち上げにおいて、最大の壁となるのは、競合の存在ではありません。顧客の獲得です。エリック・バーンは、サラリーマンとして勤めながらサイドプロジェクトとして進め、顧客獲得をスムーズに行うことが出来ています。
しかし、他の起業家は皆、顧客獲得に非常に苦労しています。しかも、多くの起業家は事業が立ち上がる前に会社を辞め、食べていくだけのお金に苦労してしまう人も少なくありません。これでは、エリック・バーンが行ったような実験を行うことが困難になってしまいます。
起業には、顧客を獲得することが第一と決め、そのためのリスクを減らしていくことが必要です。それには、エリック・バーンが行ったようにサラリーマンとしてサイドプロジェクトを進め、週末起業として行うことが最も効果的と言えるでしょう。