自分を変えたい!良い未来を作りたい!という人のための経営マインドの強化書

 

変わる経済システム。巨大デジタル市場の出現が社会に革命を起こす ≪第2回≫

前回は通貨金融システム欠陥と仮想通貨の金融商品化について紹介しました。
今回は仮想通貨の問題点について述べたいと思います。


国家を無視する仮想通貨

f:id:taka-yoshikazu:20190105225748p:plain

引用:rrost

 

 

19世紀に成立した国民国家は、通貨の支配によって正当性の保障をしました。これに対し今日の仮想通貨は、コンピュータの取引情報が正当性を保障します。
国家を無視した仮想通貨が、人の手ではなくコンピュータによって公正な取引を実現します。

そのため仮想通貨が抱える問題は、多くの人がデジタル化そのものにあると見ています。しかし、これは間違っています。問題はキャッシュレスではありません。

仮想通貨の自由取引と通貨金融システムによる正当性の在り方にあります。


第一に、仮想通貨には尺度にあたる基準が存在しません。
実はこの基準の欠如こそが仮想通貨価値の保存を困難にし、高騰による金融商品とさせている原因です。
仮想通貨はブロックチェーンによるイノベーションへの期待が大きいにも関わらず、信用が不十分です。
そのため仮想通貨との交換に財産を手放す者が少なく、通貨価値が上昇します。


第二に、国境を無視したインターネットによる投機が今日、世界のあらゆる者のアクセスを受け入れています。
既にビットコインとは異なる1600種類以上もの仮想通貨がデジタル上で生まれています。しかも仮想通貨の発行者の利益が優先され、世界全体が等しくその価値を享受することができません。
互いに交換不可能な通貨の乱発と投機が流通を困難にし、仮想通貨そのものの正当性を破壊しています。
もはや国家がデジタル通貨を発行しても無駄と言えるでしょう。


第三に、仮想通貨には尺度、保存、流通のために役立つ機関が何も存在していません。
皮肉にもドルをはじめとする実体通貨の金融システムを無視したことが、仮想通貨を脆弱にしています。
このためわずかの仮想通貨の信用低下でさえ通貨危機をもたらします。
今日の仮想通貨NEMの暴落は偶然ではありません。

仮想通貨は、国民国家の政治的な側面を排除したことで、国際通貨の実現に向けて重要な一歩を踏み出したと言えます。インターネットが世界中で国家の金融システムを超えた取引を可能にさせました。
一方で実体通貨においては、世界において既に経済的な一体化が起きているにも関わらず、アメリカや中国の対立といった政治的分裂が危険なまでに国際通貨の実現を遅らせています。


しかし今日の仮想通貨は、信用が脆弱です。
法的な設定より消費者のニーズが先行しているために、消えゆく存在とならざるを得ません。
今日の実体経済においては法的な機関がない限り、各国が持つ実体通貨の代替になりえません。デジタル上で流通が可能となっても価値の保存ができないためです。
このため仮想通貨は、そのほとんどが消滅することになります。

しかし同時に仮想通貨が実体経済と密接に関わっているために、一夜にして多くの人の財産を奪う未曽有の経済危機をもたらす可能性があります。従って、投機家に責任を押し付けることは無責任とも言えるでしょう。


もはや仮想通貨のみの問題として片づけることもできません。

 

 

それではどうすべきか?

第三回は仮想通貨の利用可能性について述べたいと思います。