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変わる経済システム 巨大デジタル市場が社会に変革を起こす ≪第4回≫

第3回までは、仮想通貨は消滅する一方で、国際経済の欠点を埋める可能性もあることを論じてきました。
今回、第4回では仮想通貨の生みの親「サトシ・ナカモト」の間違いを指摘し、仮想通貨を経済的に機能させる方法について論じたいと思います。

 

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<リンク:第一回第二回第三回



仮想通貨金融システムの必要性

仮想通貨の発案者サトシ・ナカモトは、今日の経済システムが政治権力と結びつきつつも、脆弱であることに気づいていました。そこで彼は、世界金融危機のときにイギリス政府の行動を批判するように、初期のビットコインブロックチェーンを作り上げました。
これによってサトシ・ナカモトは仮想通貨を経済学で言う信用創造を不要とするシステムにしました。
しかし、これは正しくもあり、間違ってもいます。

 

第一に仮想通貨がコンピュータの取引情報のみで正当性を保証されるということは、通貨と信用を政治権力ではなく市場に任せるということです。
市場おいては社会的な位置付けと役割によって活動が意義を持ちます。このことは、社会においては信用を必要とすることを意味します。
つまり、信用創造を不要とすることはできません。

 

第二に市場には、市場としての権力、規制や権威が存在します。これは政治権力とは異なるものです。

従ってサトシ・ナカモトが述べる通り、通貨は政治権力から外さなければなりません。しかし、このことは同時に通貨は市場において権力による統治が必要となります。
言い換えると規制への反対ではなく、むしろ規制を必要とします。

つまり、仮想通貨は信用創造の権力を政府に依存せず、市場としての統治が必要です。
さもなければ、今日の仮想通貨は政治権力が市場において正当たりえないことを証明しただけにすぎません。

 

ということは、仮想通貨は基本システムの修正が必要になります。
しかも今日、仮想通貨のための金融システムを設立しようという動きがないことが、仮想通貨の信用を取引所の経営能力のみの保証とし、脆弱にしています。

仮想通貨は純経済的な専門家集団の手に渡し、取引所をその機関の監督下に置かなければなりません。しかもそれは通貨を政治権力から外して世界全体のために意思決定を行う機関でなければなりません。
そのような機関によって仮想通貨は、はじめて国際通貨金融システムとして実現が可能になります。

 

実は私たちは既にそのような機関を手にしています。

1946年に設立され、国際的な専務理事に恵まれてきた権威ある機関、IMF国際通貨基金)です。IMFが取引所を監督し、取引を規定することが仮想通貨の信用創造を可能にします。

その上、IMFが発行している通貨SDRが、取引所の外資準備通貨となります。
今日ドル基軸制において各国が用いていることと同様、取引所が仮想通貨の流動性危機の防止としてSDRを保有します。


そしてこのことが仮想通貨の尺度を設定することになります。もちろん、これを可能にするにはIMF加盟国の協調とSDR発行枠の拡大がなければなりません。

しかしこのことは、今日のドル基軸制における金融機関は変革が必要であると言えます。

 

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引用:All About The International Monetary Fund


特に銀行においては今日の預金システムが機能しなくなります。これによって銀行は別の道を探るか、仮想通貨の取引所となるか選ばなければなりません。さもなければ、銀行は生き残ることができなくなります。

しかもさらに重要なこととして、IMFの仮想通貨への介入はアメリカには耐え難い苦痛になります。


アメリカが基軸ドル制の維持に失敗したとき、世界が仮想通貨による国際通貨金融システムに変更する危険性があります。そのため、アメリカの抵抗が仮想通貨の金融システム、つまり国際通貨金融システムの実現を遅らせるでしょう。

 

従って、今日の仮想通貨はグローバル経済の通貨金融システムの補完であって代替ではありません。デジタル上にのみ存在し、機能する通貨金融システムです。
実体通貨のグローバル経済と併存して存在するデジタル経済としての通貨です。

しかも、仮想通貨はその基幹機能のブロックチェーンにおいて知識そのものの市場を実現することになります。

 

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引用:https://ferret-plus.com/7706


しかし経済においてこれを可能にさせるには、時間がかかるはずです。
かつてのアメリカは、今の経済システムを実現するまでに1世紀もの期間を要しました。
「ドックイヤー」と言われた21世紀の現代でさえ、国際政治の複雑さから経済的なあり方を変えるのは容易ではありません。このため、私たちはまず可能なものから実現していく必要があります。


次回は、今後の経済のゆくえについて論じたいと思います。