自分を変えたい!良い未来を作りたい!という人のための経営マインドの強化書

 

変わる経済システム 巨大デジタル市場が社会に変革を起こす ≪第3回≫

今、あらゆる仮想通貨が暴落しはじめています。この傾向は今後、止まることはありません。

第1回第2回で説明したように、仮想通貨は欠点だらけの通貨です。このため、仮想通貨のほとんどが消える運命にあります。なぜなら、19世紀アメリカも同様、通貨が莫大な数になり、消滅することになったことと同様の現象だからです。しかし、一方で仮想通貨は今の欠陥だらけの経済システムを補う可能性も秘めています。

 

第3回では、19世紀アメリカから国際通貨実現までの経緯について説明し、グローバル経済との関連について議論します。

 

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引用:https://gentosha-go.com/articles/-/10184

 

国際通貨としての仮想通貨

今日の仮想通貨は、19世紀半ばのアメリカの通貨金融システムの状況に似ています。
当時のアメリカは政府による経済支配を拒否していました。
このためアメリカには役立つ機関がほとんど存在していませんでした。
しかしアメリカにおいて通貨の統一と連邦準備制度法の成立が、アメリカの通貨と金融の信用を増大させました。

アメリカの経済は、合衆国成立の後においてさえ、別々の通貨が出回っていました。
19世紀半ばには7000種類以上の通貨が発行されていました。


自由銀行法が制定された後には、多数の銀行券がたびたび暴落しました。
地方の州経済の破綻と産業革命による鉄道への投機が銀行経営を悪化させたためでした。

 

その上、中央銀行の不在が通貨金融システムの機能不全に拍車をかけました。
この解決には、1864年アメリカ通貨統一をへて、1914年の連邦準備制度法まで待たなければなりませんでした。

 

仮想通貨は今日、多数の通貨が別々にデジタル上に存在しています。
このことが、当時のアメリカ経済と同様、通貨発行者の傲慢と経済的分裂をもたらし、危機への対処を困難にしています。

さらに今日では世界におけるEコマース取引は5年で2倍以上に増加しています。
このEコマースの成長において仮想通貨が機能するには、通貨が取引額や投資額に応じて増加されなければなりません。
このため、世界全体が仮想通貨による利益を享受するには、国際通貨としての仮想通貨の統一が必要となります。

国際通貨は新しい概念ではありません。
1946年のブレトンウッズ会議において通貨の権威ケインズ基軸通貨制ではなく、国際通貨バンコールを提案しました。
ケインズ基軸通貨制が、国家の政治的傲慢と経済的分裂による信用低下という深刻な問題をもたらすことに気づいていたからでした。

 

これに対してアメリカはケインズの構想に反対しました。
当時のアメリカは政治的にも経済的にも強く、リーダーシップを握っていたために通貨の支配、すなわち基軸通貨国となることを選んだのです。


しかも、国際政治が複雑でした。
アメリカとヨーロッパという富める国の対立が、国際通貨の創設を困難にしました。

今日では、1970年の特別引出権SDRが不十分な流通ながらも、国際通貨として制定されただけです。

 

しかし今日、ドル基軸制成立から半世紀以上経過し、アメリカは国際的な影響力を低下させました。
世界は既にイアン・ブレマーの言うG0世界となりました。
もはやアメリカは世界最強の経済大国でありながらも政治的にリーダーシップを握ることはできません。

日本や中国の成長がアメリカの財政と経常赤字の増加を促し、アメリカを債務国と転落させたことが、アメリカドルの信用を低下させることになりました。


今日のアメリカは、財政と経常収支の赤字を対外投資額の増加、つまりグローバル企業の成長によって、かろうじてドル基軸体制を維持しています。

しかもドルの転落は、基軸通貨制の危険をさらすこととなりました。


2007年の世界金融危機が国家の金融システムの深刻な欠陥を露呈したのです。
アメリカ以外の国においては、外資準備金の60%以上を基軸通貨ドルとして保有することで経済危機への対処を行っています。


しかし、世界金融危機ではドルの下落によって外資準備金の減少を招きました。
このため、アメリカ以外の国ではドルとは別の外資準備通貨の保有が必要となりました。

 

今日では、あらゆる国がドル、ユーロ、SDRといった複数の通貨を保有することで、通貨と金融の不足を防止するようになっています。

 

つまり、今日のドル基軸制は崩壊のリスクを抱えていることを意味します。

アメリカは各国の経済成長によって支えられています。
しかし、世界金融危機で低迷した各国の経済と増大するアメリカの赤字が世界においてドル離れを起こします。
しかも、アメリカが財政と経常収支の立て直しのために金利を上げようにもグローバル企業の貿易や投資の危機を招いてしまいます。
このようなことは、いつまでも続けられません。やがて機能しなくなるでしょう。

 

ということは、今日のドル基軸制の欠陥を補うには、グローバル企業の成長と各国の通貨のための通貨金融システムがなければなりません。
仮想通貨は、まさに国際通貨として機能したとき、今日の通貨金融システムを補うことが可能となります。
仮想通貨は各国の外資準備金として、グローバル企業のデジタル通貨として国家間取引のコストにおいて役立つ国際通貨となることができるはずです。

 

それでは、第4回では仮想通貨の欠点の対策について述べたいと思います。