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後発がトップ!? スターバックス強さの秘密

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引用 :https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/starbucks-3c

 

トップシェアのスターバックス

スターバックスに行くと、落ち着いた空間にオシャレな音楽が流れていて、仕事や勉強がとてもはかどりますよね。しかも、何時間も居られてゆったりできます。

ところでこのスターバックス、1995年に日本上陸をしてから瞬く間に全国に広まりましたね。今では日本に1,392店、世界では22,000店と驚異的な数になり、業界トップシェアを誇っています。

 

しかし、スターバックス創業1971年から日本上陸の1995年にかけては、既にカフェ業界には多数の競合がひしめき合っていました。そういう中で後発のスターバックスは、大手に食われずに急成長を果たしています。

通常、私たちは起業する上で「先行者利益」が決定的に重要と考えがちです。とにかく他社より先駆けてチャレンジすることが有利になる、という考え方です。ところが、スターバックスの現実はその「常識」を根底から覆すものです。

 

なぜ、スターバックスは後発でありながらここまで成長できたのでしょうか?今日はスターバックスの秘密について探ってみたいと思います。

 

 

イタリアのカフェに衝撃を受けた「生みの親」

スターバックスは、アルフレッド・ピートらが1971年に創業しました。彼が既にサンフランシスコ・ベイエリアで開業し、展開していたピッツ・コーヒー&ティーを先行モデルとして作られたものです。

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引用 :About Alfred Peet | Peet's Coffee

 

ところが、当時はコーヒー卸売業に過ぎませんでした。今のスターバックスになったのは、入社したハワード・シュルツがとった行動に起因します。

ハワード・シュルツは、1982年にスターバックスに入社しました。彼はマーケティングディレクターとして、市場調査のためにイタリア・ミラノのエスプレッソバーに出かけました。そこで雷に打たれたようなショックを受けました。

 

イタリアではコーヒーが生活の一部となっており、質の良いエスプレッソをゆっくり楽しめる空間がありました。バーではバリスタと会話している粋なカフェ文化があります。その居心地の良さと数の多さに驚愕します。

帰国後、オーナーらに「イタリアのカフェバーのようなコーヒーを楽しむ空間を作り、アメリカに広げたい」とを提案しますが、断られました。

 

入社からわずか3年後、シュルツは退職し、資金調達をへてイタリアでの理想を実現したカフェ、イル・ジョナーレ社を創業しました。店はシアトルの学生やキャリアウーマンの間ですぐに大人気となりました。シュルツは退社したスターバックスの店舗と商標を380万ドルで買収します。

その後、イル・ジョナーレ社をスターバックスに改称し、シュルツは店舗を拡大しはじめました。

 

ちょうど、1980年代のアメリカではイタリア流のファッションや食事が流行しつつありました。時流に乗ったスターバックスは、北米全土に広がり、今や世界77ヶ国にまで展開するまで成長を果たしました。

こうしてシュルツは今のスターバックスの「生みの親」となったのです。

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引用 :https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20180610-00086271/

 

 

「顧客の絞り込み」と「競合と差別化」したスターバックス

さて、このスターバックス。いくら当時のイタリアンの時流に乗ったとはいえ、競合も同じことをすれば潰しあいになってしまいます。実際、日本上陸した1995年当時は、飽食の時代であり、カフェ業界にはドトールコーヒーを筆頭に、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなどが乱立してました。

 

当時は、「早い」「うまい」「安い」といった高品質のメニューを低価格で提供する値下げ合戦が競合同士で繰り広げられていました。そうなると、素人目からではどこも同じようなものを提供しているようにしか感じられません。

 

一方で消費者を見ると、流行に敏感で稼いでいるキャリアウーマンが出現しはじめました。彼女らは既にバブル消費を経験しており、おいしい物や本物志向に目覚めてしまっていました。そのような人たちに「どこも同じようなもの」を提供しても受けいられるはずがありません。

 

そこでスターバックスは顧客を女性層をターゲットとし、「リーズナブルだけど、手が届く贅沢」としたものを提供することで競合と差別化しました。

つまり、「顧客の絞り込み」と「競合との差別化」によって厳しい業界環境の中でも成長することができたのです。

 

これには、「スターバックス体験」という、シュルツが目指したゆったりした店舗空間を女性客を中心に多くの人に受けいられたのが大きな要因とも言えるでしょう。

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引用 :スターバックスコーヒー ジャパン

 

 

強さを検証 スターバックス vs 競合企業

これまで紹介したスターバックスの強さは、既に巷で調査されていることをまとめたものです。しかし、本当にこの情報が正しいのか、検証したものはあまりありません。

そこで、スターバックスに3週間ほど通い詰め、競合他社と比較検証をしてみました。

 

スターバックス vsドトールコーヒー

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言わずと知れたドトールスターバックス同様、コーヒーなどを提供しています。ホットコーヒーなどのドリンク価格はスターバックスより100円ほど安く、味はほぼ同等です。

ところが、ドトールではレジ前に並んでいる人がよく見られるものの、店内には、ゆっくり本を読んだりしている人はいません。店内はオシャレな内装と音楽があり、落ち着いた空間となっているにも関わらずです。皆食べ終わったら、さっさと出て行ってしまいます。

 

一方で、スターバックスドトールと同様な内装であるものの、何時間も本を読んだり、PCで仕事をしている人がいます。男女比は、ほぼ同等といったところです。どうやら、既に市民に定着化したためか、際立って女性に人気というわけではないようです。 

どうやら、スターバックスドトールと違い、「飲食の場」ではなく客がだれでも安心して利用する場という地位を持っているようです。

 

スターバックス vs ケンタッキーフライドチキン

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ケンタッキーフライドチキンスターバックスより、ドリンク価格が200円ほど安く、味は薄めでした。しかも、ケンタッキーは店舗に入るなり、目の前にレジが現れます。席に座るには、まず商品を購入してからになります。

店員は「いらっしゃいませ」「店内でお召し上がりですか?」と言うなり、レジ前に置かれたメニューを持って客へ対応を行いはじめました。ところが、メニュー以外の質問をすると、店員はその質問に応えられませんでした。

 

それに対し、スターバックスは、店舗に入るとまず席が目の前に現れます。商品は席に座ってから買うことができます。また、店員は「こんにちは」という挨拶であり、客がメニューを選ぶ際は、店員が具体的な質問をして、客にあったメニューを提案するというやり方になっていました。

 

スターバックス vs マクドナルド

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最後にマクドナルドでは、スターバックスよりドリンク価格が300円ほど安く、味は薄めでした。マクドナルドはケンタッキーと同様、店舗に入ると目の前にレジが現れます。客は会計を済ませた後、客席に座らずにUターンをして帰りやすい店舗設計になっていました。

店員は客の曖昧な要望にも応えられる人がいたものの、客席にはじっくり本を読んでいる人はいませんでした。客層は10代前半の小学生や家族連れが多くいました。

 

しかし、スターバックスは会計を済ませた客がUターンして帰るような内装設計にしていません。むしろ、会計を済ませた客が店内で休める店舗設計にしています。しかも客層は、10代後半の高校生以上であり、大人のための店という感じです。

 

また、店員は裏メニューを提供することができます。これは、マクドナルドにはない決定的な特徴とも言えます。ドリンクのトッピングを変えたり、裏メニューを提供することができます。裏メニューには、店員がお気に入りのコーヒー豆で作ったコーヒーを提供することもできます。

 

 

強さの秘密は「人」にあり

結局のところ、後発のスターバックスがグローバル企業となり、カフェ業界でトップシェアを取った要因は、「味」「価格」「内装」のいずれでもないと言えそうです。いずれも競合とほとんど変わりありません。


はっきりと違うのは、「スターバックス体験」という顧客価値を、「自分の頭で考えて提供する店員」にあると言えます。言い換えると、今や「経営戦略」や「業務の仕組み」など、競争要因にはなりえないということです。

 

1980年代の高度経済成長期に作られた「考えるより作業スピードを」という機械型社員は価値を提供できなくなっています。物が出回り、あらゆるものがコモディティした現在、顧客価値は「自ら考える者」によって作られるということがこの例からはっきりと言えます。

 

私たちは、自分の頭で考え、価値を生み出していく人材になっていくことが今後、不可欠となるでしょう。