大震災の教訓 柔軟に行動しよう!希望を得るために
日本は高度経済成長期を通して高い技術と高度なインフラを身に着けました。この結果、アメリカを遥かに凌駕し、他国を圧倒するまでにもなりました。少なくとも、大震災前まではそのように信じられてきました。
ところが、大震災でこの考えは一変します。日本の「自信」は「過信」であったことが判明しました。
今日の私たちは、もはやこれまで培った技術力に甘んじることはできないということが当たり前となりつつあります。
それではどうすべきでしょうか?
今日は近年日本で起きた2つの大震災からの教訓について考えてみましょう。
日本の過信と大震災ショック
日本は近年、2度の大震災に見舞われています。
1度目は1995年の阪神淡路大震災です。
阪神淡路大震災が起こる1年前の1994年。アメリカロサンゼルスでノースリッジ地震が起きました。高速道路が倒壊し、死者57名、負傷者約5,400名にものぼりました。
ところが、当時の日本のTV局はその様子を報道しながら、「アメリカは地震後進国」「日本はあんな風にならない」と述べていました。
しかし、その1年後に阪神淡路大震災が起きて高速道路が倒壊。死者6,402人、負傷者40,092人となりました。マスコミの考えは間違っていました。
その後、日本は一変しました。
日本建設技術の自信が根底から打ち砕かれました。一夜にして防災先進国から「防災劣後国」に降格したのです。
皮肉にも、このことが国を挙げて復興に取り組むことを後押ししました。この結果、当時落ち込みつつあった経済を下支えするようになりました。実際、兵庫県のGDPが一時期5.7%も上昇しています。
しかも、震災復興に加え、耐震補強工事と防災ネットワーク強化を行うことで、新しい経済価値を作り出すことになりました。
2度目は2011年の東日本大震災です。
東日本大震災では、東北や福島の甚大な被害に加え、大規模な停電が起きました。
死者・行方不明者は1万8,432人と未曽有の大災害となりました。
しかも、大規模な停電は、東京電力の変圧器の破損が原因でした。このためか、当時は原発のあり方に疑問を持つ人は少なくありませんでした。
「もし、原発以外の電力網が整備されていたら、あそこまで酷くはならなかったはず」
「スマートグリッドの様な自家発電を行う技術が普及していれば、原発の問題を防げていたはず」と、考える人も少なくありませんでした。
しかし、これは当時の日本ではほぼ不可能でした。
東日本大震災が起こる前、政府はスマートグリッドの必要性を否定していたからです。
2009年に経済産業省が「スマートグリッドはアメリカの遅れた送電網を修復するためのもので、すでに"賢い"日本の送電網には必要ない」と述べています。
ところが、皮肉にも東北の復興としてスマートグリッドが活用されました。
今では、スマートグリッドの構築の要となる「スマートメーター」の設置が、3割の東京の家庭に普及されています。政府の考えは間違っていました。
ピンチにあっても柔軟に行動すべし
これらのことから、私たちに「絶対ということは起こりえない」ということが言えます。大震災は私たちの考えを凌ぐ非常に大きなものでした。
このため、もし、震災の前に「技術」の過信に日本が気づいていても、リスクについて考え抜かれていたとしても、問題は防げなかったでしょう。
同時にこれらの大震災の事実は、私たちにもう一つの教訓を与えてくれます。
例え、上手くいかないことが起き、ピンチになったとしても、考えを素早く見直して行動することができれば、チャンスに変えることもできる。
私たちは、希望を得るために柔軟に行動していくことが必要でしょう。