変わる経済システム 巨大デジタル市場が社会に変革を起こす ≪第3回≫
今、あらゆる仮想通貨が暴落しはじめています。この傾向は今後、止まることはありません。
第1回、第2回で説明したように、仮想通貨は欠点だらけの通貨です。このため、仮想通貨のほとんどが消える運命にあります。なぜなら、19世紀アメリカも同様、通貨が莫大な数になり、消滅することになったことと同様の現象だからです。しかし、一方で仮想通貨は今の欠陥だらけの経済システムを補う可能性も秘めています。
第3回では、19世紀アメリカから国際通貨実現までの経緯について説明し、グローバル経済との関連について議論します。
国際通貨としての仮想通貨
今日の仮想通貨は、19世紀半ばのアメリカの通貨金融システムの状況に似ています。
当時のアメリカは政府による経済支配を拒否していました。
このためアメリカには役立つ機関がほとんど存在していませんでした。
しかしアメリカにおいて通貨の統一と連邦準備制度法の成立が、アメリカの通貨と金融の信用を増大させました。
アメリカの経済は、合衆国成立の後においてさえ、別々の通貨が出回っていました。
19世紀半ばには7000種類以上の通貨が発行されていました。
自由銀行法が制定された後には、多数の銀行券がたびたび暴落しました。
地方の州経済の破綻と産業革命による鉄道への投機が銀行経営を悪化させたためでした。
その上、中央銀行の不在が通貨金融システムの機能不全に拍車をかけました。
この解決には、1864年のアメリカ通貨統一をへて、1914年の連邦準備制度法まで待たなければなりませんでした。
仮想通貨は今日、多数の通貨が別々にデジタル上に存在しています。
このことが、当時のアメリカ経済と同様、通貨発行者の傲慢と経済的分裂をもたらし、危機への対処を困難にしています。
さらに今日では世界におけるEコマース取引は5年で2倍以上に増加しています。
このEコマースの成長において仮想通貨が機能するには、通貨が取引額や投資額に応じて増加されなければなりません。
このため、世界全体が仮想通貨による利益を享受するには、国際通貨としての仮想通貨の統一が必要となります。
国際通貨は新しい概念ではありません。
1946年のブレトンウッズ会議において通貨の権威ケインズが基軸通貨制ではなく、国際通貨バンコールを提案しました。
ケインズは基軸通貨制が、国家の政治的傲慢と経済的分裂による信用低下という深刻な問題をもたらすことに気づいていたからでした。
これに対してアメリカはケインズの構想に反対しました。
当時のアメリカは政治的にも経済的にも強く、リーダーシップを握っていたために通貨の支配、すなわち基軸通貨国となることを選んだのです。
しかも、国際政治が複雑でした。
アメリカとヨーロッパという富める国の対立が、国際通貨の創設を困難にしました。今日では、1970年の特別引出権SDRが不十分な流通ながらも、国際通貨として制定されただけです。
しかし今日、ドル基軸制成立から半世紀以上経過し、アメリカは国際的な影響力を低下させました。
世界は既にイアン・ブレマーの言うG0世界となりました。
もはやアメリカは世界最強の経済大国でありながらも政治的にリーダーシップを握ることはできません。
日本や中国の成長がアメリカの財政と経常赤字の増加を促し、アメリカを債務国と転落させたことが、アメリカドルの信用を低下させることになりました。
今日のアメリカは、財政と経常収支の赤字を対外投資額の増加、つまりグローバル企業の成長によって、かろうじてドル基軸体制を維持しています。しかもドルの転落は、基軸通貨制の危険をさらすこととなりました。
2007年の世界金融危機が国家の金融システムの深刻な欠陥を露呈したのです。
アメリカ以外の国においては、外資準備金の60%以上を基軸通貨ドルとして保有することで経済危機への対処を行っています。
しかし、世界金融危機ではドルの下落によって外資準備金の減少を招きました。
このため、アメリカ以外の国ではドルとは別の外資準備通貨の保有が必要となりました。
今日では、あらゆる国がドル、ユーロ、SDRといった複数の通貨を保有することで、通貨と金融の不足を防止するようになっています。
つまり、今日のドル基軸制は崩壊のリスクを抱えていることを意味します。
アメリカは各国の経済成長によって支えられています。
しかし、世界金融危機で低迷した各国の経済と増大するアメリカの赤字が世界においてドル離れを起こします。
しかも、アメリカが財政と経常収支の立て直しのために金利を上げようにもグローバル企業の貿易や投資の危機を招いてしまいます。
このようなことは、いつまでも続けられません。やがて機能しなくなるでしょう。
ということは、今日のドル基軸制の欠陥を補うには、グローバル企業の成長と各国の通貨のための通貨金融システムがなければなりません。
仮想通貨は、まさに国際通貨として機能したとき、今日の通貨金融システムを補うことが可能となります。
仮想通貨は各国の外資準備金として、グローバル企業のデジタル通貨として国家間取引のコストにおいて役立つ国際通貨となることができるはずです。
それでは、第4回では仮想通貨の欠点の対策について述べたいと思います。
【起業の第一歩】根源的な「想い」を言葉にせよ!
起業家には唯一の資源があります。それは熱意です。
お金も地位も名案もない中でスタートする起業家は、ドラゴンクエストで言うと「レベル1の勇者」です。しかし同時に、熱意を持つことが起業家を勇者とさせると言うこともできます。
今日は起業の持つべき熱意について述べてみたいと思います。
なぜ起業家は熱意が必要なのか?
「80歳になって人生を振り返ったとき、印象に残っているのは自らの決断の数々ある」とAmazon創業者 ジェフ・ベゾスが言うように、起業家は根源的な希求に向けて判断をすることが重要です。
なぜなら、起業は「熱意」という羅針盤を持って進む行為だからです。
ところが、多くの人は「お金や名誉」という、外から与えられた動機で起業をはじめます。これはサラリーマンの発想です。
起業家は、サラリーマンのように決まったことをすれば、上司から評価をもらえたり、給与が上がる事は絶対にありません。
サラリーマン発想は起業には「害」である
いつの時代もどこの地域にも「起業で1億円稼げました」「有名になりました」と述べる人がいます。
サラリーマン的な発想の人は、これらの人についていけば「自分も同じようになれる」と考えがちです。そして、いつの間か成功者のマネをしたり、成功者を「教祖」として崇めるようになっていきます。
しかし、このような人の中で実際に成功した人は現れたことはありません。実際は、その教祖に「お金を搾取されて終わる」というのが大多数です。
成功者は目標とするライバルとして見るべきであって、マネすべき人ではないのです。
なぜなら、成功者は「その分野を支配した人」であり、その時点で既に得られる価値はほとんどなくなっているからです。マネした人が後から恩恵を受けられるものはほとんど残っていません。
ところが、起業家は他者に依存するようなことはしません。
「目標を他人にするのは楽だが、それでは人生を他人に預けるようなもの」と、彼らはよくわかっているのです。起業は、自らの希求に沿った目標で進めなければなければなりません。
従って、起業家になるには、まずこのサラリーマン的発想から脱却することが第一と言えます。
根源的な想いを言葉にせよ
それでは、起業家の熱意とは何でしょうか?
それは過去の原体験を通じた想いであり、「世の中にどのようなムーブメント起こし、世界をどう変えたいか」という問いです。
これには、徹底的に自分の考えの理由について「なぜ?」と自問自答し、腹落ちするまで考え抜かなければなりません。そして行動を通じて「なぜ?」を精緻化していくことが大切です。
つまり根源的な想いには、「強い体験的な記憶」と「世界や地域などの大きな視点」から見た幸せの追求が含まれているのです。
すなわち、起業には「世界を変える巨大なパワー」に気づくことが、その第一歩と言えるのです。
起業家は最高のパフォーマンスを維持せよ!「体調管理4つのコツ」
起業家は「体が資本」と言われます。
一旦、自分が体を壊したら何もできず、深刻な問題になるからです。収入が激減し、自分も家族も食べていくことができなくなります。
しかし一方で、起業家は計画達成のプレッシャーや毎日の激務を抱えています。この結果、彼らは自分を追い込みすぎていまいます。中にはうつ病、果ては自殺までしてしまう人もいるほどです。
このため今日は、起業家が行うべき体調管理にスポットライトを当て、行うべき対策について議論したいと思います。
意外と多い!?「起業家のうつ病」
アメリカでは、成人の16%ほどがうつ病であると言われています。
一方で、カリフォルニア大学教授 ミッシェル・フリーマンによると、アメリカの起業家の30%うつ病になっています。このため、起業家はうつ病のリスクが一般人の2倍もあります。
また、ゼロベース株式会社によると、日本人起業家はうつ病へのリスクが一般の7倍あると言われています。
このため、起業家のうつ病は決して珍しいものではありません。
では、なぜここまでうつ病のリスクが大きいのでしょうか?
実は、次の3つの問題があります。
①「最高責任者」という強いストレス
サラリーマンは、起業家の自由に判断できる裁量権に憧れます。
ところが、現実は資金繰りや顧客クレームの処理、事業が傾いたらリストラを行うなど、起業家の仕事はストレスで一杯です。
しかも、「起業家は替えがきかない」という現実が、彼らに全てを抱え込ませ、そして彼ら自身を潰すといった問題を引き起こしてしまいます。
②「ねばならない思考」による過度の追い込み
起業家には、強力なバイタリティによる無限の成長力があります。
「ねばならない思考」によって、日々の仕事を走りながら改善し、理想を現実にしていくことができるからです。しかし、この思考態度は諸刃の剣でもあります。
上手くいっているときは、「ねばならない思考」が周囲の環境を変えるほどの強い原動力になります。ところが、失敗したときはこの思考が「自分に向いてしまう」のです。
特に日頃から失敗を許容できない状況にあると、知らず知らずに自分を追い込み、メンタルに深刻な問題を引き起こしてしまいます。
③「孤独」による疲労感
多くの起業家は孤独と背中合わせです。
24時間365日事業の成果と収支で頭が一杯になります。この上、会社組織を率いている場合は部下に弱みを見せられません。トップが不安を抱えていると部下が不安がり、力を出せなくなるためです。
さらに、癒しになるはずの家族も味方になりません。家族には家族としての都合があるためです。特に起業の初期は、家庭からも借金取りに取られている感覚になることもあるでしょう。
小さい子供を抱えていると、日々の食費に加え、教育費にどんどんお金が取られていくためです。
このような、忙しい日々の中では余裕もゆとりもあったものでありません。いつの間にか疲労が溜まり、体が蝕まれていくようになります。
従って、起業家は働きすぎることが最も危険なことです。
一旦、健康を失えばそれを取り返すのに多大な犠牲を払うことなります。鬱になると中々仕事に復帰することができません。軽い鬱でも半年から2年は横になることが多くなるのです。
起業家が行うべき「体調管理4つのコツ」
Google創業者 セルゲイ・ブリンは、親会社アルファベットの社長を務める傍ら、毎日の健康的な習慣づけを行っています。毎朝集中的にエクササイズ行い、頻繁にローラーブレードで走り回り、会議中にヨガのストレッチをするほどです。
さすがにセルゲイ・ブリンほどに行う必要はないにせよ、起業家は「体調管理も仕事の一つ」として健康に意識した習慣づけを行う必要があります。
健康維持において起業家が行うべきことは、次の4つです。
「野心のコントロール」「睡眠」「運動」「家族との時間」です。
①野心のコントロール
COMSTOR Outdoor社創業者 ジョンソン・ダフは、「自分の人生の可能性を生かすには、働かなさすぎと働きすぎの中間の波に乗る方法を知らなければならない」と述べています。
仕事への執着を抑え、無理そうだと思うときは切り上げることが大切です。
②睡眠
睡眠時間も大きな投資です。しっかりと睡眠をとることで、的確な判断をすることができるからです。どんなに忙しくても、睡眠時間を削って鬱になるような事は避けなければなりません。
③運動
忙しくなると運動は疎かになりがちです。しかし、毎日健康管理のための時間を30分だけ作ることならできるはずです。ジムに通ったり、無理なく続けられる方法を選ぶなどして運動を続けていきましょう。
④家族との時間
仕事での成功するカギは仕事以外にあります。自分を支えてくれる家族との時間を作ることが、バランスのとれた生活を送ることができます。
そして、家族を大切にする姿勢が仕事の取引先とも良い関係を生み、結果的に会社を強くすることにもつながっていきます。
起業家は、最高のパフォーマンスを出せるようにすることが成果への鍵となります。
そのためには、毎日の体調を管理し、周囲の関係を良くするよう努力をしていくことが大切です。
まずは顧客をつくれ!「起業をはじめる5つのアプローチ」
起業家が守るべきルール
20世紀の自動車王ヘンリーフォードから、21世紀のYコンビネータまで一貫して言われ続けていることがあります。
それは、「起業は小さく始めよ」です。
最初に多額の資金を調達すると、債権の償還や株主への配当などに縛られ、やるべき仕事が歪められるためです。
このため、まずやるべきことは「お金がなくてもスタートを切り、顧客をつくるべき仕事に集中する」ことです。その上で、資金調達など事業の成長に集中することが大切です。
ところが、多くの起業家は逆の発想をします。
「できるだけ大きな資金を集め、それを元手に商品を作って見込み客に販売する」ことをします。しかし、これではギャンブルです。売れるかわからないものを販売しても上手くいくとは言えません。
むしろ、失敗して多額の借金を持つことになる可能性が高いと言えます。
このようなことは、起業家が「顧客をつくること」と「事業を大きくすること」を混同しているときに起きがちです。
しかし、ヘンリーフォードが言うように「お金だけでは何の価値もなく、お金自身では何もすることは出来ない」のです。
では、起業家はどのように始めればよいのでしょうか?
それには、この5つのアプローチが必要です。
「顧客を理解する」「反応を試す」「自分に気づいてアピール」「他者がやってないことをやる」「ダメなら方向転換」といったことです。
今回はこれらについて紹介します。
起業のスタートは恋愛と同じ
意外かもしれませんが、起業をはじめることは難しくありません。
起業は恋愛と同じく「熱情」を必要とします。
「顧客の問題とその解決を最も理解しているのは世界で自分だけ」という考えが熱情を引き起こし、行動を進める強い動機となるのです。
では、試しに恋愛で相手と付き合うまでの過程を挙げてみましょう。
「相手を気に入る」「試しに話す」「自分の良さをアプローチ」「ライバルに抜きんでる」「ダメなら他を探す」
これを起業の「言葉」に直します。すると、以下のようになります。
「顧客を理解する」「反応を試す」「自分に気づいてアピール」「他者がやってないことをやる」「ダメなら方向転換」
意味としては同じです。つまり、この5つのアプローチを熱情を持って行動することが基本となります。
①顧客を理解する
起業において、購入客となりえる重要な人がいます。それは「満たされていない人」です。
例えば、満腹な人にご馳走をしても食べませんが、空腹な人にご馳走をすると喜んで食べてくれます。
これと同じく、対象の中で「満たされていない」と感じる人を見つけることが顧客を得る第一歩となります。満たされていない人は、言い換えると「不完全な解決手段のため、切実な悩みでストレスを抱えている人」です。
つまり、起業家自身が相手の「切実な悩み」に共感することで、顧客のニーズを掴むことができるのです。
「相手の切実な悩みの見つけ方」はこちらを参考ください。理解が深まります
②反応を試す
起業のはじめは、事業が形になっていません。このため、どうしても顧客が曖昧になります。「切実な悩みを持っている人」が、いつも間にか起業家が「こうあってほしいと願う人」にすり替わることも多くあります。
この場合は、ほぼ上手くいきません。どんなに頑張っても「的外れ」となります。
従って、顧客を理解するには「反応を試す」ことが必要になります。顧客の声に耳を澄まし、彼らをよく観察するのです。
顧客の観察手段は、事業によって異なりますが、ここでは「SNSを利用する手段」方法を紹介します。
こちらは、フェイスブックを利用して顧客の絞り込みを行った例です。
見込み客をフェイスブックで絞り込み、ターゲットに広告を打つことで効果的な顧客獲得が可能です。
③自分に気づいてアピール
顧客の切実な課題には、多数の解決手段があります。
例えば、「赤ん坊の夜泣きで眠れず、おもちゃで何とか寝かしつけている母親」の悩みを解決する方法を挙げてみましょう。
「赤ん坊の健康」「夜泣き」「不眠」「おもちゃ」「寝かしつける方法」「代わりの人」…
沢山ありますが、これら全てを起業家が行うことはできません。仮に全て解決するものを作ったとしても、「起業家のサービスが何に優れているか」を素人の顧客が理解できなくなるためです。
顧客にとって「最も優れたサービス」を選んでもらうには、起業家が最も強いと言えることで勝負せざるを得ません。
これには、起業家の特性でバランスのとれたものを選択する必要があります。
起業家の特性を判断するには、「Must」「Can」「Will」のフレームワークがあります。具体的な方法はこちらを参照してください。
④他者がやってないことをやる
起業家が「新しいビジネスのアイデアを考えた!」と思っても、ほぼ必ずと言って「先行者」がいるものです。多くの人はこのことを知った途端、せっかくのアイデアを諦めてしまいます。
確かに競合が多いと生き残りに至難を極めます。
例えば、「ラーメン屋」は通り沿いに数百メートル歩けばすぐに見つかるほど、熾烈な争いが繰り広げられています。
このような業界では新規参入者が生き残るのは、ほぼ不可能でしょう。
しかし、起業において最も重要なのは「切実な悩みへの解決」です。
言い換えると、無数の価値の中から「起業家が作ったものだけ」を顧客に選んでもらえるよう工夫すればよいのです。
例えばラーメン屋だと、「2次元アイドルが作るラーメン屋」というように、他者がやってないことをやれば良いのです。
引用:http://ure.pia.co.jp/articles/-/66023
つまり顧客から見て、「他と明らかに違う」とアピールが出来ればよいのです。
仮に先行者がいても諦める必要はありません。
尚、先行者への対策はこちらを参照すると理解が深まります。
⑤ダメなら方向転換
①~④を行ったとしても成功するとは限りません。
例え、どんなに考えても、どんなに試しても上手くいかないことがあります。そういった時は思い切って方向転換をすることをおススメします。
方向転換の目安として「起業を初めてから1.5年ほど行っても、利益が上がる見込みがない」ときは、別の方向性を進めた方が良いかもしれません。変えないままでいると再起不能なほどの大失敗になる可能性があるからです。
もし、判断に悩むようなら、信頼できる人に相談する方が良いでしょう。
しかし、もし失敗だったとしても行動したことで大きな学びになったはずです。
「この方向は失敗だったと学べた」と考え、この学びを次に生かすことが大切です。
失敗を生かす考え方はこちらを参照するとより理解が深まります。
起業は簡単ではない、しかし諦めなければ道は拓ける
今回は、起業の基礎編として「起業をはじめる5つのアプローチ」を紹介しました。
実際は、これだけでは全く足りず、起業においてはもっと多くのことを自ら学んでいかなくてはなりません。
しかし、この5つのアプローチであれば、「お金がなくても顧客をつくる」ことは可能になります。
そして、試しつつ少しずつ成功に繋げていってみてください。
変わる経済システム。巨大デジタル市場の出現が社会に革命を起こす ≪第2回≫
前回は通貨金融システム欠陥と仮想通貨の金融商品化について紹介しました。
今回は仮想通貨の問題点について述べたいと思います。
国家を無視する仮想通貨
引用:rrost
19世紀に成立した国民国家は、通貨の支配によって正当性の保障をしました。これに対し今日の仮想通貨は、コンピュータの取引情報が正当性を保障します。
国家を無視した仮想通貨が、人の手ではなくコンピュータによって公正な取引を実現します。
そのため仮想通貨が抱える問題は、多くの人がデジタル化そのものにあると見ています。しかし、これは間違っています。問題はキャッシュレスではありません。
仮想通貨の自由取引と通貨金融システムによる正当性の在り方にあります。
第一に、仮想通貨には尺度にあたる基準が存在しません。
実はこの基準の欠如こそが仮想通貨価値の保存を困難にし、高騰による金融商品とさせている原因です。
仮想通貨はブロックチェーンによるイノベーションへの期待が大きいにも関わらず、信用が不十分です。
そのため仮想通貨との交換に財産を手放す者が少なく、通貨価値が上昇します。
第二に、国境を無視したインターネットによる投機が今日、世界のあらゆる者のアクセスを受け入れています。
既にビットコインとは異なる1600種類以上もの仮想通貨がデジタル上で生まれています。しかも仮想通貨の発行者の利益が優先され、世界全体が等しくその価値を享受することができません。
互いに交換不可能な通貨の乱発と投機が流通を困難にし、仮想通貨そのものの正当性を破壊しています。
もはや国家がデジタル通貨を発行しても無駄と言えるでしょう。
第三に、仮想通貨には尺度、保存、流通のために役立つ機関が何も存在していません。
皮肉にもドルをはじめとする実体通貨の金融システムを無視したことが、仮想通貨を脆弱にしています。
このためわずかの仮想通貨の信用低下でさえ通貨危機をもたらします。
今日の仮想通貨NEMの暴落は偶然ではありません。
仮想通貨は、国民国家の政治的な側面を排除したことで、国際通貨の実現に向けて重要な一歩を踏み出したと言えます。インターネットが世界中で国家の金融システムを超えた取引を可能にさせました。
一方で実体通貨においては、世界において既に経済的な一体化が起きているにも関わらず、アメリカや中国の対立といった政治的分裂が危険なまでに国際通貨の実現を遅らせています。
しかし今日の仮想通貨は、信用が脆弱です。
法的な設定より消費者のニーズが先行しているために、消えゆく存在とならざるを得ません。
今日の実体経済においては法的な機関がない限り、各国が持つ実体通貨の代替になりえません。デジタル上で流通が可能となっても価値の保存ができないためです。
このため仮想通貨は、そのほとんどが消滅することになります。
しかし同時に仮想通貨が実体経済と密接に関わっているために、一夜にして多くの人の財産を奪う未曽有の経済危機をもたらす可能性があります。従って、投機家に責任を押し付けることは無責任とも言えるでしょう。
もはや仮想通貨のみの問題として片づけることもできません。
それではどうすべきか?
第三回は仮想通貨の利用可能性について述べたいと思います。
【日本復活の鍵】OPECとエネルギー技術を推進すべし
サミュエル・ハンチントンは「文明の衝突」にて、イスラムや西洋の様な事なる文明の衝突の危険性を指摘しましたが、そうなる気配はありません。
しかし、「近隣国家の衝突」は近年よく見られるようになってきました。
2018年12月、カタールのOPEC脱退の発表があり、世界に衝撃が走りました。このことは、今後のグローバル経済にとって大きな波紋をもたらすことになるでしょう。
日本の私たちはこのことを「対岸の火事」と見ず、協力関係を作っていくことが必要です。そうすることで、日本の閉塞感打破の可能性を見出すこともできます。
今日は、OPECのゆくえと日本のあり方について見てみましょう。
引用:Naseem Zeitoon/ロイター(写真はカタールのアルカービ・エネルギー・産業相)
国家グループOPECはなぜ誕生したか?
第二次世界大戦後、世界はグループに分裂し、冷戦が起きました。アメリカ中心の民主主義国とソ連中心の共産主義国に別れました。
一方で、発展途上国は、独立後もこれらの国から搾取され続けていました。特に中東では、先進国の石油産業の企業連合によって独占され、産油量の利益の大部分を搾取されるという状況でした。
そのため、中東では強大国の企業による資源搾取の対抗としてOPECを組織し、主要なエネルギーである原油の支配権を握ることにしました。
引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181204-00010001-storyfulp-m_est.view-003
このときからOPECは、強大国に対抗し、域内の産業保護をするという、ECSC(欧州連合EUの前身)と同様の国家グループとしての位置付けを持っていたのです。
時代遅れになったOPEC
OPECは、国民国家の連合グループでありながら、流通量調整で市場に支配権を持つ、「独占的企業連合」としての機能を持っていました。
事実、1973年には、中東に経済制裁を加え、世界に「オイルショック」を与えるという、絶大なる影響力を持っていました。
ところが、彼らが絶大なる権力を持っていたが故に、皮肉なことが起こります。
世界は中東以外の油田開発を進めるようになったのです。この結果、OPECの原油生産シェアが低下し、ピーク時の53%から40%になりました。
2018年には、アメリカがサウジアラビアを抜いてトップになり、ロシアが第3位となるなど、原油生産の順位も変わっています。
その上、原油の消費国も変わりました。他のエネルギー資源の開発を進め、太陽光発電や火力発電など自然エネルギーを利用するようになっていきました。
そして、OPECが前提としていた強大国とのパワーバランスが崩れました。1991年にソ連が崩壊したことにより、OPECの「抵抗の相手」がいなくなりました。
この結果、OPECは世界的な影響力が低下しました。今や需要に対応原油生産量を調整するという、ただの原産地グループでしかありません。
OPEC崩壊の危険
今、OPECは加盟国の結束が崩壊し、サウジアラビアとカタール、イランで深刻な対立が生じています。
カタールは1996年にテレビ局アルジャジーラを設立しました。ところが設立間もなくしてアルジャジーラは、アラブの権威主義に反発する報道をします。彼らはアルカイダの声明報道やアラブの春の扇動を行い、変化に乏しい独裁政権を批判するなど、アラブ諸国との対立を煽りました。
引用:Rights groups condemn ‘cowardly censorship’ bid over Al Jazeera | Asia Pacific Report
これに対し、サウジアラビアは、カタールとの国境を運河に変え、孤立させる行動に出ました。アルジャジーラの報道は、民衆がサウジアラビア王室の政権を転覆させるほどの影響力があると考えたのでしょう。サウジアラビアはカタールに対して感情的な対立をむき出しにしています。
一方、カタールはサウジアラビアへの酷い態度に我慢ならなかったのか「OPECの脱退」の決断をくだしました。しかも、カタールはサウジアラビアが覇権を巡って対立しているイランと協力関係を持っています。
このままでは、OPECが内部から崩壊する可能性も否定できません。中東の国同士で紛争が起きた場合、原油価格の高騰どころか、長期的に原油の入手すら困難になりえます。
日本は1980年代から中東への石油依存度を高めており、現在は80%以上もあります。他の原産地である中国やインドネシアが石油輸出を抑えているため、中東への依存度が高い状態にあるのです。
従って中東の対立は、日本にも見過ごすことのできない問題です。
引用:平成24年エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2013)
エネルギー技術の協力関係が鍵だ
中東諸国対立の背景にあるのは経済の停滞です。IMFによると湾岸アラブ産油国の実質経済成長率は2.4%と世界経済の3.7%を大きく下回りました。
OPECは発足当初から、原油の生産調整しか行ってきませんでした。このため、原油以外の取り組みが進んでいないのが現状です。今日の停滞の原因はここにあります。
一方で日本は、1973年のオイルショックからエネルギー技術の開発に取り組んできました。家電製品の省エネは基より、太陽光発電、スマートグリッド、電気自動車などの新技術にも積極的に取り組んでいます。しかし、今の協力関係を見ると、家電や運輸の省エネ技術の提供に留まっているのが現状です。これをさらに積極的に推し進めていく必要があります。
協力関係の強化は日本にとってもプラスになります。
日本の企業は、他国に先駆けて太陽光発電などの新技術を開発をしたものの、後から中国の企業に抜かれ、商機を見出せなくなっています。こういう中で中東の国と協力し合うことで、日本は新たな市場を作り上げることができるはずです。
私たちはOPECの問題を「対岸の火事」と見ずに互いに協力関係を作っていくことが大事です。そうすれば、結果的に自分たちの成長に寄与していくことができるはずです。
【参考資料】
【新年の挨拶】 本気になるものを探そう!
新年、そして21世紀の振り返り
あけましておめでとうございます。
2019年3月末で平成最後となりますね。思えば、1999年12月30日で20世紀最後を迎えて早19年です。
生きている間に2つの時代の変化を目の当たりに出来るのは、我々の世代くらいですね。
我々以外の世代では経験出来ない、大変貴重なことです。
ところで、21世紀は「人間の時代」「戦争のない時代へ」と言われていました。
しかし、今になってみると、イラク戦争など紛争が多く、とても平和とは言えない状況です。その上国内では、大企業の倒産など暗い状況が見え隠れしています。
一方で、スマートフォンの世界的拡大とそのサービスの展開により、世界中の人とコミュニケーションが取れるようになりました。
さらに、様々なものが価格破壊し、起業への障壁がグンと下がりました。新しい技術も開発され、宇宙ロケットや電気自動車など、将来を感じさせるものが現れつつあります。
昨年、2018年を振り返りますと、北海道地震などの暗いニュースがあったものの、ノーベル医学賞に本庶 佑氏の受賞、平昌オリンピック開催など、未来に期待を持たせる出来事も多くありましたね。
私自身の振り返りと皆様へのアドバイス
私自身振り返りますと、2年前から進めている起業も大きく方向転換を迎えている時期になっています。
はじめはイベント活動からはじめました。気の合う仲間を誘ってのことでした。しかし、中々盛り上がらず、やり方を変えてきましたが、「今ひとつ」が拭えきれませんでした。
そこで、昨年、告知活動を兼ねてブログをはじめて見ました。この「未来は変えられる!」というブログもそのひとつです。
このため、このブログは「起業・起業希望者」対象に向けたものとなっています。
ただ、毎回ブログに「本気が重要だ!」なんて書いてますが、私自身もはじめたきっかけは「ノリ」です。その都度振り返り、少しずつ本気になっていき、現在に至ってます。
ですから、今「本気になれない‥」と落ち込んでいる方はお気になさらずに下さい。
実際、何か新しいことに取り組む上で不安にならない人はいないわけです。「失敗したらどうしよう」とか「自分だけが辛い」と感じる方が普通です。
そういうときは、「実験だ」と割り切るのが良いと思います。実験なら失敗しても、そんなに困ることもありませんからね。
こうやって、活動しながら都度振り返り、「自分は何に本気になれるのか」と考えていくことが大事です。
そう言う意味で、今年も「将来への機会」を見ていきましょう。
今年も私はいろいろチャレンジしてきます。
どうぞ、今年もよろしくお願いいたします。
町おこしの秘訣! 「つながり」でファンを作れ
失敗に終わった「形だけの町おこし」
日本がゼロ成長を続ける中、2015年に始まったローカルアベノミクスにより、地方創生関係交付金がばら撒かれました。このため「形だけ」の町おこしをする自治体が急増しています。
このため、自治体の中では成功したところと失敗したところに分かれました。今では、自治体の経済成長率は、最高と最低の間に2%もの開きがあります。
失敗したところは一時的なイベント活動に終わり、「地域の強み」も「顧客のファン化」も出来ていません。
今日は地域が町おこしにどう取り組んでいくべきか考えたいと思います。
くまモン一人勝ちの「ゆるキャラ」
かつて、「ゆるキャラ」は全国で当たり前のように見られました。
この「ゆるキャラ」は、2004年にみうらじゅんが命名し、10年後にブームとなりました。ところが今では、全国に最大で1700体以上もいたゆるキャラは、半数以下しか活動出来ていません。
しかも、今消費者が覚えているゆるキャラは「くまモン」くらいしかないという有様です。
その上、熊本県のご当地キャラ「くまモン」は、1200億円以上を稼いでいます。2010年の「くまモンを捜せキャンペーン」など、熊本県職員が連帯してSNSでのキャンペーン活動を行ったのが功を結んだためです。
そして今では、熊本県を離れて「人格を持ったキャラクター」として世界に愛されています。
一方で、他の自治体のキャラクター、例えば宮崎県 えびの市の「みなほ」は、SNSでの活動が少なく、町おこしの効果につながっていません。そのせいで市の観光客数は年々下がり続けています。
このため、町おこしの頼みの綱だったゆるキャラは、多くの自治体において、国からの交付金を得るためだけの活動に成り下がりました。つまり、ゆるキャラは鳴り物入りの活動でしかなかったと言えます。
強みを活かして「つながりを作れ」
しかし、ゆるキャラ以外の手段でうまくいっている自治体があります。沖縄県です。実質経済成長率が全国1位であり、しかも8年連続でプラス成長を続けています。
沖縄県は、2011年の東日本大震災から5年で観光客収入が2倍となっています。特にアジアからの観光客の増加が大きく、日本国内のインフラや「おもてなし」によるサービスレベルの高さに魅力を感じて観光に来る人が多く、毎年増加を続けています。
しかし、これでも課題があります。アメリカのハワイと比べると、滞在日数が3日程度と短く、観光対策が今一つといったところです。
小西美術工藝社 代表取締役デービッド・アトキンソン氏によると、観光のポイントは「おもてなしが重要なのではなく、滞在時間を延ばすことだ」と述べています。つまり、今の「おもてなし」サービスに甘んじることなく、町おこしの工夫を続けていく必要があるのです。
引用:おもてなしは観光資源にならない 日本の観光収入を伸ばすためには? | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
このためには、町の強みを引き出すことが不可欠です。「あなたのためにこういう楽しみを用意しました」という、観光客の立場に立った価値の提供が必要です。
つながりを作るアプローチ「4つのC」
町の強みを引き出しているところとしては、茨城県大洗町があげられます。大洗町では、ガールズ&パンツァーという戦車のアニメで「おもてなし」と「繋がり」で町おこしを行ない、効果を上げています。
大洗町は、「聖地巡礼」としてアニメの舞台となった場所に観光に訪れる「オタク」をターゲットに、おもてなしとしての「体験の場」を作り出しました。
引用(右):<大洗町> ガールズ&パンツァー - アニメと聖地巡礼――深夜アニメはまちを救う? - Cute.Guides at 九州大学 Kyushu University
さらにキャラクターグッズ販売やトークショーを行うことで、大洗町とファン層である「オタク」の繋がりを作り上げています。
この結果、TV放送が終了して5年経過した2018年の今でも観光客が増え続けています。茨城県が全国魅力度6年連続最下位であるのに対し、大洗町は茨城県で最も観光客が訪れている町となっているのです。実際、観光客は東日本大震災時の1.6倍にまで増加しています。
では、どのように繋がりを作ればよいのでしょうか?
そこで私は「4つのC」のアプローチを考案しました。ここでは、大洗町の例から紹介します。
①Context(共通の価値観)
ガールズ&パンツァーでは、主人公たちの学校が「戦車道」の大会で優勝するという話があります。ところが大洗町では、それに合わせて「あたかも地元の高校が優勝したように」見せているのです。
実際、「祝 大洗女子学園 優勝おめでとう」といった横断幕やのぼりが掲げられ、町全体が「祝勝ムード」を醸成しているといった取り組みが行われています。
②Conversation(対話)
大洗町では、地域住民とファンとの間のコミュニケーションが盛んに見られます。こうした交流が生まれることで、ファンはまた大洗町に足を運びたくなります。
例えば、アニメには戦車が突っ込んだ旅館「肴屋本店」があります。この代表者は、町に訪れたファンと交流することで地域の魅力をさらに高めています。
この結果、『ガルパンファン』が『大洗のファン』になり、地元住民も顧客と会話する楽しさを得られるという効果が生まれています。
引用:<大洗町> ガールズ&パンツァー - アニメと聖地巡礼――深夜アニメはまちを救う? - Cute.Guides at 九州大学 Kyushu University
③Contact(接触機会)
心理学で言う、ザイオンスの単純接触効果というものです。人は同じものを何度も接触する機会があると、次第に親近感が増していくという性質があります。これを利用するのです。
大洗町ではアニメに登場する「戦車が衝突した旅館」や「戦車が破壊された場所」といった地点をグーグルマップに記しています。これをファンに配布し、その上さらに登場人物やストーリーに沿った商品やサービスを実際に提供しています。
この結果、ファンは町全体に親近感が湧いていくという相乗効果が出来上がっています。
④Continue(継続)
大洗町は、アニメ放映終了後もイベントを継続開催しています。また、意図的に直前までイベントの情報を非公開にすることで、サプライズ感を演出するなど、飽きられない工夫を行っています。
自ら積極的に取り組むことが不可欠だ
少子高齢化や東日本大震災など、地域にとっては逆風となることが多く存在しています。しかし、「世の中が悪いから」とか「政治が悪いから」と他人のせいにしては何もよくなりません。自らの意思で「自分たちの強みを活かした顧客サービス」を工夫して開発していくことが大切です。
その上で、沖縄県や大洗町など町をあげての取り組みは、今の情勢に対して有用な事例になるのではないでしょうか。
町おこしに取り組んでいる人は、自らの頭で考えて積極的に「つながり」を作り出していかなければなりません。
変わる経済システム 巨大デジタル市場が社会に変革を起こす ≪第1回≫
欠陥だらけの通貨金融システム
経済学は、通貨には尺度、保存、流通の三機能が必要であるとしています。 古典派経済学と近代経済学のどちらもが、景気後退による不況を防ぐには、国家の金融システムによって通貨の機能を安定化させなければならないとしています。
ところが、2009年に突如として現れた仮想通貨は、通貨の三機能を無視しています。ビットコインの提唱者サトシ・ナカモトは、インターネットの世界では仮想通貨を金融システムから分離させるべきとしました。 このため仮想通貨は、インターネットにおいて主体性を持つことになります。次の記事で彼は消費者が発行し、取引記録のみで成り立つ通貨とすべきとしています。
このことは、インターネットによって世界が一つの経済圏となったためです。実体経済とは別のグローバル化したデジタル経済が現れたためです。
デジタル経済では、時間は最も大きなコストになります。実体の金融システムで国家を仲介することは、企業には大きな負担です。 しかも、実体のグローバル経済では金融システムによる通貨の不安定性が伴います。今日の変動相場制は世界恐慌の反省から生まれ、通貨の安全装置と期待されました。しかし現実には逆のことが起こっています。
2007年には、サブプライムローンによって世界金融危機が起きました。不動産の金融商品として アメリカにおいて低額の貸付がされました。たちまち多くの返済が焦げ付き、株式市場が暴落しました。景気後退が起き、貿易の減少によって世界的な企業の連鎖破綻が起きました。
しかしその一方で、デジタル経済では仮想通貨のビットコインは通貨でなくなりつつあります。それどころか、デジタル経済においては価格が乱高下をする金融商品です。もはや、サトシ・ナカモトの期待を外れて麻薬同然の扱いです。 その上、インターネットの世界では、国家が仮想通貨を規制しても無駄です。富める国で仮想通貨を規制しても、貧しい国の組織、個人が流通させてしまいます。
もはや、インターネットにあるデジタル経済では国家はシンボルです。国家は金融政策によって仮想通貨の流れを変えることができません。
従って、今日のデジタル経済はニーズが通貨金融システムを先行しています。デジタル経済のための組織もなければ、金融危機への予防も対処の手段もありません。
では、私たちはいかにすべきなのか。次回でそれを明らかにしたいと思います。
誰でもできる! ビジネスアイデアの見つけかた
「ビジネスアイデアって、どう考えれば良いんだろう…」
はじめてアイデアを考える起業家志望者の多くは、いつもこの問いに悩まされます。しかし、実はビジネスアイデアを考えるのは難しくありません。今回は、「誰でもできるビジネスアイデア」の発想法についてご紹介します。
事業者と顧客の食い違いを見つけよ
起業家は、既存の産業の「間違った努力」による認識ギャップをいち早く見つけることで事業の機会とすることができます。
ピーター・F・ドラッカーによると「事業の成果は間違った努力を正すことで可能になる」としています。しかし、これは起業家にとって適切ではありません。事業アイデアを持っていない起業家は、顧客の特定はほとんどできません。
このため、起業家は既存事業者のサービスと顧客の要望の食い違いを見つけらざるを得ない立場にあるのです。
例えば、「新しくカフェ産業に参入したい、でもアイデアがない」という起業家は、まずはスターバックスの様な「既存のカフェ」を観察すると良いでしょう。
スターバックスの店内を観察すると、資格の勉強、大学のレポート作成、パソコンで資料作成をする人などがいます。多くの人は、スターバックスを図書館の代わりにしています。その上、店内にはコーヒー豆も販売されており、時折コーヒー豆のみ求めて来る人もいます。自宅でおいしくコーヒーを作るためです。
実はこれらの人、つまり顧客にとっては「落ち着ける空間」が重要であり、飲み物は引き立て役でしかありません。顧客には日々の喧騒とした空間を離れて、落ち着いた場所で集中して作業することが大事だからです。
これに対し、店員と話をすると驚くべきことがわかってきます。彼らは「顧客が高品質の飲み物をほしがっている」と本気で思っているのです。
このようにみると、彼らが行う「間違った努力」を発見できます。多くの顧客にとってはメニューを詰めることが正しくても、一方でコーヒー豆の購入客からすると、必要なものはメニューではなく「コーヒーの情報」です。
「認識ギャップ」がビジネスアイデアのヒント
スターバックスの豆の販売コーナーには、コーヒー情報が置いていません。そのため、顧客は豆の選び方やおいしい作り方がわからず、困ってしまいます。購入客からすると、豆の選択知識だけでなく、自宅で友人と話をするときのネタとして、コーヒーの「ウンチク」も必要になるはずです。
ということは、「コーヒー豆の情報を手軽に手に入れ、学べるサービスがあるべき」と考えることができるはずです。新しいビジネスの発想としてはこのようなアプローチが有用となります。
このように、既存産業で成果が上がっていないことを「認識ギャップ」として捉えなおすことで、起業家のビジネスアイデアとすることができるのです。
「切実な課題」と「不完全な解決」の発見が鍵
しかし、認識ギャップは単に眺めても現れてくることはありません。
潜在顧客への積極的な観察から「切実な課題」を見分けることが必要です。なぜなら、顧客は何より彼ら自身の課題を解決することが重要であり、事業者の提供価値はその道具でしかないためです。
言い換えると今、潜在顧客が利用している「手段」が彼らの課題をどれだけ解決しているかが、新しいビジネスの参入余地を決めると言っても過言ではありません。
それでは、どのようにして潜在顧客の切実な課題を見つければよいでしょうか。それには、次の様な「問い」によって、潜在顧客の利用している手段が「不完全な解決であるか」を見つけることが近道です。
① 課題が放置されているか。もしその場合、彼らの「今の手段」で課題の解決を図ろうとしているか
② 彼らの「今の手段」がどの程度課題を解決できているか
③ もし課題を応急処置的に解決していたならば、彼らは非常に不満やストレスを感じているか
私たちは、何らかの手段で問題が解決されない限り、不満やストレスを感じつつも無意識に「我慢」する傾向があります。とりわけ、課題が切実であるほど「今利用している手段を代替したい」と思う傾向が強くなります。
起業家はそこを攻め、問題解決としてより良い手段を潜在顧客に提供することで、新たな事業への参入の実現を可能にすることができます。しかし、もし仮に潜在顧客の課題が既に完全に解決されている場合、事業の参入余地は少なくなり、厳しい戦いを強いられることになるでしょう。
従って、顧客ニーズは「困っている相手の問題を解決してあげること」に意識すれば、おのずから現れてくるものです。
つまり、相手の問題解決のために「聞く」ことを行えば、新しい事業の成功確率を上げることが可能になるのです。
【参考資料】
スタートアップの定義と「顧客開発モデル」の4ステップ